古都の道場 西向き間借り

まとまったことをちゃんと書くために。(まとまってないこと:Twitter→@Picassophia)

2021-01-01から1年間の記事一覧

今日は最後の大学日。あと30分程度で家を出る。これが済んだら年末に知己と過ごす。 掃除を終えることができた。それなりに整えたが、依然として本の多さは変わらない。増える一方だ。せめて使いやすく、また汚くならないようにした。あとはWorkflowyなどの…

権威と完全な静止

机を前にする。席につく。文字をしたためる。 労いに鳥羽の方まで羽を休めに行って、昨晩帰ってきた。今日は掃除をするつもりだが、いざ朝を迎えてみると寒さが辛くて、のそのそと起きて朝食をとりながら結局いつものように悠長に本を読んでしまっていた。 …

ロマンチックに、音楽を聴くように耳を傾けること——『夢十夜』第一夜

今年のofficialな仕事が一通り片付いてほっとしている。あとはぼちぼち自分の仕事をしながら年末にかけて一年の疲れをゆっくり癒そうかな、と思う。 と言いながらもついつい仕事をしてしまうもので、教材研究の一環で漱石の『夢十夜』を読み返していた。 『…

「日本哲学」にこだわる理由

今日は自宅に篭って自分の研究を進める日。と言いつつ、事務的なことを済ませたり、週末の準備をしたりと、結局この時間まで研究らしい研究ということができなかった。今から頑張るわけだが、すんなり研究に入る気にもなれないので、少し書いてみることにす…

冬のノスタルジー

昨日採点業務が終わって、レポートも一通りチェックした。 あとやることは来週の発表準備と翻訳、そして年度末報告書のため研究だ。 ともかく色々落ち着いてきた。それに合わせて、いろんなことを感じる。冬は冬のノスタルジーがある。今日は雨だったので最…

夢日記

7時半起床。頗る嫌な夢を見た。 連日の授業準備や企画もひとまず落ち着き、喫緊の締め切り仕事も一旦片がついて、少し落ち着いて研究ができる、あるいは余裕があるはずだったのが昨日だ。少なくとも月曜の夜まではそう思っていた。 だが、実際は起きてフッサ…

西田、田辺と下村の間で思うこと

連日原稿の修正やテストの採点、成績処理、大学入試の対策、授業準備、研究費の申請書などで落ち着かなかった。ようやく一息ついて(正確にはまだ全然一息ついてないが)、午前の研究をする時間を得た。それでいつも通りフッサールと初期シェリング・ヘーゲ…

研究費問題

急に夏が終わった。 一気に寒くなったせいでお腹を下したり怠さを感じたりしていて、研究がうまく進まない。月末締め切りの論文の修正がかなり滞っている状況でこの感じは本当にまずいから早く脱却したいのだが、なかなか身体が言うことを聞いてくれない。こ…

九月終わり

先日書いたものを尊敬している先輩に一読してもらって、非常に丁寧な批評を頂いた。それで月末締め切りの論文をずっと手直ししている。内容ではなく形式について自分が抱えていた問題を汲み取ってもらえた感じがあって、非常にありがたい。だが修正してもや…

上半期を終えて

今年度三本目の論文を脱稿して、英文要旨を書き上げた。我ながらよくがんばったなと思う。 とはいえなかなか落ち着いていられない。というのも、ここまでで書き上げた原稿はいずれも昨年度までの研究成果のまとめ直しであって、今年度の研究成果は全然まとめ…

朝から図書館に行った。今までは重い資料を背負って自転車で通っていたが、車で行けるようになった。重さを考えたり、汗だくになったりせずにすむようになったのは嬉しい。地元の図書館は蔵書も環境も悪くない。ただ、お昼を食べるのに適当なところがないの…

夏の午後とピアノ——伊藤整の「生物祭」

割合よくある表象だと思うのだが、夏の午後のワンシーンに音数の少ないローテンポのピアノメロディを流すあの感じを言葉にしてみたい。 すっと頭に浮かぶのは細田守の『時をかける少女』だが、別にそれ自体に固有な表象というわけでもないような気がする。 …

個と個体、身体

試みにまずライプニッツから始めよう。もとより拙い理解であるから、もし明らかな誤りなどがあれば識者の方はぜひ正していただきたい。 ライプニッツの『形而上学叙説』における一つの核心は、のちのアントワーヌ・アルノーとの往復書簡での主題に重ねて言え…

頭燃を払うが如く「見ること」への忌避

朝起きて伸びきった髭を剃った。一週間緩慢とした生活を送って、ようやく研究に対して淡々とした態度をとれるようになってきている。途中(半ば予想どおり)体調を崩しもしたが。 梅雨から夏にかけて、この時期は本当に好きになれない。外が照り付けて勇まし…

梅雨とこれから

4月から通い始めた車校を卒業した。明日免許センターで最後の学科試験が通れば、とりあえず免許を取得できるという段階にある。 正直結構ハードだった。5月連休の前後は車校の休みと別件に手を取られたので二週間ほど空いてしまったが、それ以外はほとんど…

古都の対自的自覚

フランス人の気のおけない仏教哲学系研究者と朝から色々文面でやりとりをしていた。今日はオフ、というわけでもないが、久々に対外的な用事がない日なのでゆっくりしたいとも思っている。 本来宗教的なものに惹かれて哲学の門をくぐった身としては、いつかそ…

フッサールの三項図式とオノマの問題

以前国際学会で発表したことだが、場所をめぐる問題として自分が確定的な答えをいつか出さないといけないと思っていることがある。それがὄνοµαの問題である。 場所をめぐる問題としてὄνοµαというのは、すぐには結びつかないと思う。 場所は場所自身が限定す…

哲学か諸哲学か

訳あって今日は朝からだいぶ神経を使った。明日は今日以上に神経を使うことになる。他に喫緊の仕事もないので、今日は家で大人しくしていた。 なんとなくレヴィナスのフッサール論を読み返していて、『形式論理学と超越論的論理学』の中にある「哲学はただひ…

四月の進捗

新年度の一月目がまもなく終わる。以前の記事にも書いたとおり、出鼻の挫かれたスタートではあったが、概ね為すべきことを為し、もどかしいながらもそれなりに進捗を得ることができたような気がする。 大きなこととして、自動車の教習所に通い始めた。 別に…

休暇

休養日。なんとなく落ち着かない。 為すべき仕事は多い。考えるべきことは多い。だがそれを体系的に、あるいは根本的に考える気力は、残念ながら現状到底あるとは言えない。 いっそのこと哲学とかから少し離れてみてもいいのでは、という気すらする。もっと…

瞬間の唯一性

西田にあまり馴染みがないという人に『無の自覚的限定』の中で一つ論文を勧めるとすれば、多くの人は慣例的に「私と汝」を取り上げるだろうが、自分は「自愛と他愛及び弁証法」を勧めてみたい。 西田の論文は一見同じような難解な論述で一貫しているようにも…

於てあるものと完結性

現場で働いていたときから思っていたが、「普通は」我々は自己の存在それ以上に遡って自己を基礎づけようと考えることはない。「自分とはなにか?」という問いかけが直ちに「この私はどういう人間か」という問いにすり替えられてしまうのは、ごく自然な推移…

新年度

新年度が始まったが、早速出鼻を挫かれた。 家族が高熱を出してしまったのである。情勢が情勢なだけに、なかなか落ち着けない。いろいろと考えるべきこと、為すべきことがあって、当惑せざるを得ない。 同時に論文が行き詰まってしまった。月末にかけて査読…

Lambを読む

日曜日なので休んだ。 仕事を辞めてまもなく新年度が始まる。せっかくなのだから奮起して研究に集中する生活をしようと思って、今月はできるだけ意識しながら休んだ。明日から新年度を意識してきびきびやっていこうというわけだ。ただ、こうした塞ぎ込みがち…

宗教的なものと現代

今日はWorkflowyの整理を少しして、方針を少し考えた。ギリシア哲学の本格的な勉強をする機会があって、せっかく仕事も辞めて時間もあるのだから今のうちに手をつけておくのもいいのではないかと思ったが、結局自分の今なすべき仕事に集中した方がいいと思い…

安寧に際して

無事に年度最後の諸々の仕事が片付いて、一週間が経とうとしている。 多くの人に気をつかっていただいたおかげで、ひとまず安寧に至ることができた、という感じだろうか。一時の安寧でしかなくとも、この機会はありがたい。 この一週間は、とにかくとっちら…

戸坂潤と戦後日本哲学

西田、田辺に次ぐ京都学派の哲学的重要人物は誰か、ということを問題にするとき、それは人によって(つまりその人の基底をなす見方によって)変わってくる。絶対無の哲学を宗教的なものとの関係性で考えようとする人は、おそらく西谷啓治を置こうとするだろ…

アカデミック・ライティングと高校教育

国際学会もあるし、いい加減真剣に勉強しないといけないな、と思い、初心に還るつもりでアカデミック・ライティングの本を一冊買った。幸い安く買えた。基礎的なことだが、基礎を疎かにはできない。生徒にも日々言っている。 大体のこの類の本がそうであるよ…

ディストピアを思念すること

昨晩は気の置けない知己たちと久闊を除した。韓国、山口、愛媛、岡山、横浜にいる人たちと近況を報告し合い、久々に生きた話をしたような気持ちがする。 その最中に、横浜の知人宅で例の地震が起きて、体験のリアルさを垣間見た。 遠隔故に共有しようのない…

主語、助詞、格

鷲田清一の「「つながり」と「ぬくもり」」という文章が『高校生のための現代思想ベーシック ちくま評論入門 改訂版』に収録されている。この文章は学力にあまり関係なくいろいろと応用もできるし、無難なのでこれまでも自分は何度か教育現場で使ってきた。 …