焦燥とは無縁の、スピード
明日から早速後期の授業が始まる。
この上半期は、生活様式がガラッと変わって、色々適応に手間取った。あるいはその結果かもしれないが、ここ数週間で風邪を引いて寝込むということもあった。
総合的に見て自分の身の上に幸を感じる日々であることは間違いないが、それでもいくらか焦燥や不満が募る点もあり、これからの生活というものを今一度考えてみなければならないなと思う。
とにかく目下の仕事は依頼原稿と博士論文で、これが片付いたらやりたい研究がたくさんあるのだが、逆に片付けることができない自分の手際の悪さというものを見ていると、極めて個人的な意味での研究人生というのはあまり明るくない。自分が変わらなければならない面というのがあるように思う。
特に大きいのは時間感覚だろう。限られた時間の中でどのように仕事をしていくか、ということを、この半年は痛感するばかりだった。タイムスパンを定めてマルチタスクをこなすことに少しずつシフトしているが、それだけというわけでもいかない。
尊敬する先生は、圧倒的な知識量と語学能力、著作を展開しているわけであって、そういう姿に自分を少しでも近づけていくためには、ただ生きてこなすだけの仕事をするだけでは到底足りない。
ということを考えていて、ふと「ああ、そうか。速度だ」と思い立った。
一週間というルーティンをこなすスケジュールの先取の中では、労力というのは等分されがちである。とかくそこで「焦り」と結びつく速さを、自分は戒めることが多かった。焦っては行けない。焦ると労力を無駄にする。そうして焦らずにやることを、自分のブレーキにしていたところがあったわけだ。
焦燥とは無縁の、スピードを意識すること。
いくらかの加速度を伴うような思考で、仕事を進めること。
後期はこれをいくらか意識して、自分の仕事を進めていきたい。「所与に屈する」ということは自分の哲学の主題であるのに、この「速さ」に今まで盲目だったのは、どうにも情けない。
軌道に乗せるためのアクセルの踏み方を培うのが肝要だ。